「もう治っている」と言われたのに、なぜ痛みが引かないのか?
「整形外科でヘルニアと言われ、最近のレントゲンでは『もう綺麗に治っている』と言われたのに痛みが引かない」
「先生は『治っているよ』と言うけど痛いんだよっ!!」
そういった話をよく耳にします。
当院にも、こうした「画像上の治癒と、実際の症状のズレ」に長年悩まされているお客様が数多くご相談に来られます。
なぜ、治っているはずなのに痛みが消えないのか?
「気のせい」って思う人も多いでしょう。
しかし現実には、手や指が痺れ、腕に力を入れると震えてくる。
不思議ですよね。
この謎を解いていきましょう。
実は、時間の経過とともに「痛みを引き起こしている本当の問題」が別の場所へ移り変わっているケースは非常に多いのです。
「えっ?そんなことあるの?」
と思うかもしれませんが、あるんですよ。
実例をもとにご紹介しますね。
5年前に交通事故で肩を骨折し、同時に筋肉も損傷した方です。
【事例】事故から5年。「気のせい」と疑われ仕事を辞めることに…
約5年前に交通事故に遭い、当時は肩の筋肉(腱板損傷:けんばんそんしょう図1)や骨折と診断された。

医療機関での治療やリハビリは一区切りついたものの、生活の中では「痛み・痺れ」という切実な不調が続いていました。
怪我をしてからもう5年も経過し、病院の治療も終了している状況。ご本人の中では、本当は治っていないのに周囲から
「まだ治ってないの?」
「本当はもう治ってるんじゃないの?」
と思われているのではないかという強い不安が常につきまとっていました。
医師や治療家などの専門家に相談しても「画像上は問題ない」と不思議がられ、時には疑いの目を向けられることすらあったそうです。
ついには「これじゃあ仕事にならない」と、仕事から離れざるを得ない状態にまで追い込まれてしまいました。
周囲から見れば事故をしたことは「もう過去のこと」に見えても、ご本人にとっては「仕事や生活を奪っている、今まさに目の前にある切実な問題」だったのです。
【問診で判明】お客様が、本当に「困っていたこと」
詳しくお話を聞いていくと、事故当時の「肩の痛み」ではなく、現在進行形でまったく別の症状に悩まされていることが分かりました。
- 小指と薬指の痺れ
- 5kgほどの軽い荷物でも、持ち続けると腕がプルプル震えて落としてしまう
「肩の古傷が痛む」のではなく、「手先の痺れや腕の震えで力が入らない」という神経が圧迫された症状が今の生活を脅かしていたのです。
【検査で判明】身体の使い方テストで見えた「2つの真犯人」
当院で姿勢を変えた動的検査(身体の使い方のテスト)を行ったところ、明確な原因が2つ浮き彫りになりました。
① 小指と薬指が痺れる原因
まずは手先の痺れです。 痺れる場所を詳しく確かめると、「薬指の真ん中から小指側だけ」痺れ、中指側はまったく問題ありませんでした。
これは、どこかで神経がギュッと圧迫されている典型的なシグナルです。
そこで、胸の奥深くにある「小胸筋(しょうきょうきん)図2」という筋肉をぐっと押してみたところ、いつもの痺れが強くなりました。

図2小胸筋(しょうきょうきん) 黄色の箇所が神経
つまり、痺れの原因は「肩の古傷」そのものではなく、胸の奥の筋肉がカチコチに固まり、指先へ向かう神経の通り道を締め付けていたことが分かりました。
② 「座ると腕がプルプル震える」意外なメカニズム
当院で「姿勢を変えた動的検査(身体の使い方のテスト)」を行ったところ、決定的な違いが現れました。
- まず座った状態で肘を曲げて力をもらう: すぐに腕がプルプルと震え出し、次第に力が入らなくなってくる。
- 次に仰向け(寝た状態)で同じように力を入れてもらう: 震えは一切出ず、しっかり力が入る。
なぜ「座るとプルプル揺れて力が入らず、寝ると平気」なのか?
その理由は、首の横にある「斜角筋(しゃかくきん)図3」という筋肉と姿勢の関係にあります。

図3斜角筋(しゃかくきん) 黄色の箇所が神経
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【座った姿勢の場合】
重い頭を支えるため、首の斜角筋が常に緊張します。5年間、痛みが出ない様に肩に力を入れ続けて硬くなっていた斜角筋に、腕を動かす力が入ることでさらに余計な力が加わります。
すると、斜角筋はさらにギュッと膨らんで隙間が狭くなり、中を通っている神経や血管を直接押し潰してしまうため、次第に力が入らなくなって腕が震えていたのです。 -
【仰向け(寝ている)の場合】
一方、寝ると頭を支える必要がなくなり、首(斜角筋)の緊張がすーっと抜けます。神経への圧迫がなくなるため、腕をスムーズに動かせるようになります。
腕が震えていたのは単に筋力が落ちたからではなく、「肩に力を入れ続けた結果、座るたびに首の筋肉が神経を押し潰していたから」だったのです。
| 項目 | 受傷初期(事故直後〜治療期) | 5年経過した現在(かばい動作による影響) |
| 主な原因部位 | 肩の筋肉(腱板損傷)・骨折部 | 首(斜角筋)〜胸(小胸筋)の過緊張 |
| 主な症状 | 肩自体の強い痛み・可動域制限 | 小指・薬指の痺れ・座位での腕の震え |
| 画像検査 | 異常あり(骨折・断裂等) | 「異常なし」「治っている」と判定されやすい |
| 必要なアプローチ | 患部の固定・安静・局所リハビリ | 姿勢変化に伴う首・胸周りの筋肉をほぐし神経への圧迫を減圧 |
▼ 受傷初期と5年経過した現在の違い原因の「移り変わり」に合わせた施術
原因が「肩の古傷」ではなく「痛みが出ない様に肩に力を入れ続けたことによる首(斜角筋)や胸(小胸筋)の過緊張」にあると分かれば、アプローチするポイントも変わります。
施術では、過去の病名にとらわれず、現在の症状を引き起こしている斜角筋や小胸筋の過緊張をピンポイントで解きほぐす施術を展開しました。
締め付けられていた神経や血管の通り道を広げてあげることで、その場で指先の痺れ感が和らぎ、腕の震えも収まる大きな変化が見られました。
あとは、この筋肉が5年の時を掛けて硬くなったため、筋肉がもとの柔軟性がある筋肉に戻る様に施術をしていけば、指に出たしびれや、腕に力を入れると震えて「力が入らなくなる」という症状は改善されると思われます。
よくある質問(FAQ)
- レントゲンで「治っている」と言われたのに痛みや痺れがあるのはなぜ?
- 画像検査は骨の異常や組織の断裂を見つけるのが得意ですが、長年かばい続けたことで生じた「筋肉の過緊張」や「神経の圧迫」は写りにくいためです。元々の怪我自体は治っていても、かばった別の部位が悲鳴を上げているケースが多く見られます。
- 腕に力を入れるとプルプル震えるのは、筋肉が衰えたからですか?
- 筋力低下だけでなく、首や胸の筋肉(斜角筋など)がパンパンに張り、近くを通る神経を圧迫してしまう場合があります。神経が圧迫された状態で力を入れるとプルプル震えてきます。首周りのコリを緩めて圧迫が起こらない様にすることで、震えがピタッと止まるケースもあります。
長引く慢性痛でお悩みの方へ
「ヘルニアは治ったはずなのに」「事故から何年も経っているのに」と悩んでいるとき、あなたの身体の中で起きているのは「治っていない」のではなく「かばった場所が新しく悲鳴を上げている」状態かもしれません。
周囲に理解されず孤独感を抱えている方こそ、過去の病名に縛られず、「今、身体のどこに負担がかかっているか」を正しく見極めることが大切です。ぜひ一度ご相談ください。
- 記事執筆・専門監修: 整体院くるら 代表 内海晃征(理学療法士 / 施術歴22年)





































