寝たきりになりたくない
2022年6月23日
①介護予防に運動はつきもの
この「寝たきりになりたくない」は何話かに分割してお話していきたいと思っています。
今回は「まえがき」的な感じになります。
そこのところをふまえて読んでください。
「寝たきりになりたくない」
「自分の事は自分でしていたい」
「いつまでも歩いていたい」
この仕事をしているとよく耳にする言葉です。
いわゆる「老後の不安」の一つですね。
私が理学療法士として働き始めて
今年で18年目です。
このうち17年は何らかの形で
介護保険に携わってきました。
そのため、こういった話はよく耳にしました。
・寝たきりになる
・自分の事ができなくなる
・歩けなくなる
ちょっと考えただけでも
「ゾッ」としますよね?
言葉にするのも嫌で
恐怖すら感じる人もいると思います。
でも、これから書くことを見れば
・手立てがある
・そんなに怖くないのかも?
と思える内容にしたいと思いますので、
最後まで見て下さいね。
また、
「私はまだそんな歳じゃない」と思う方も
あなたのご親族で
「老後の不安」を抱えている人がいるかもしれません。
読んでおけば後々、役に立つ事があると思います。
「寝たきり」の状態は、事故や病気などで突然起こることもありますが、
一般的には介護が必要な状態となって、その状態が悪化し
順を追って寝たきりに移行していきます。
そのため、まずは寝たきり状態の前に起こる
「介護が必要な状態」の原因について説明していきたいと思います。
介護が必要になった原因
認知症(18%)
脳血管障害(16%)
高齢による衰弱(13%)
骨折・転倒(13%)
関節疾患(11%)
この数字からも、病気によるものより高齢者特有の身体の変化が、
原因となっていることが見受けられます。
もっと分かりやすく抽象的に分類すると
「病気によるもの」
「高齢によるもの」
「認知症によるもの」
それぞれ
病気が46%、
高齢によるものが36%
認知症が18%
更に
認知症を「高齢によるもの」に含めて分類すると
病気が45%
高齢によるものが55%
と高齢によるものの方が
多いことが分かります。
病気の予防は、定期的に病院で検査を受ける事が重要です。
例えば血圧が高いと脳血管や心臓の病気など血管系の病気になるリスクが高まります。
血糖値が高めであれば、糖尿病のリスクが高まります。
脳ドックでは未破裂脳動脈瘤の有無が分かったりします。
未破裂脳動脈瘤に対しては予防的な手術も存在しています。
病気の予防についてあげると多々ありますが、
今回は、病気の予防については省かせていただき
「高齢によるもの」に関してお話させて頂こうと思います。
高齢によるものは、
・ご想像の通り高齢になり筋力が低下し転倒して骨折する
・膝や腰が悪くなって歩きにくくなる
などして活動性が低下し、徐々に筋力をはじめとした
全身の機能が衰えていくことで起こります。
「歳だから仕方ない」とよく聞きます。
確かにその通りですが、
同じ90歳でも
寝たきりの人もいれば
元気に一人で買い物へ行くことができ、
お友達と旅行に行ける人もいます。
その差は何でしょうか?
もちろん病気の有無も影響していますが、
栄養
運動
痛み
この3つが大きく影響していると考えています。
これは
私が訪問リハビリ業務に約10年携わり、
長年、同じ方に関わった中で感じた事です。
【栄養】
まずは栄養です。
高齢になると食欲が低下し、筋肉を維持するのに十分なタンパク質がとれなくなり、筋肉が衰えてきます。
タンパク質は65歳以上の男性で一日当たり60g。女性で50gが必要とされています。
といってもイメージがつきにくいと思いますので、各食物に含まれるタンパク質量をいくつかご紹介します。
牛もも肉100gでタンパク質は19.5g
まぐろ赤身5切れ 15.8g
たまご1コで8.6g
ごはん300gで7.5g
そば1玉10g
納豆1パック12.4g
牛乳コップ1杯6.6g
と必要なタンパク質を確保するのはコツが必要になってくると思います。
【運動】
続いては運動についてです。
運動が必要な事はもう「当たり前」のことと思います。
よく「運動」としてやられているのはウォーキングです。
非常によい運動です。
しかし、ウォーキングだけでは十分な運動にならないのです。
なぜなら、ウォーキングだと使う筋肉が限られてしまうからです。
歳が来て歩幅が狭くなった状態で、いくら歩いても再び歩幅が拡がることはありません。
人は無意識のうちに、安全で効率的な歩き方を選んでいます。
つまり弱った筋力で、安全かつ疲れにくい(効率的な)歩き方として歩幅が狭くなるので、弱った筋力を強くしない限り歩き方は改善されません。
また、筋力は速筋といって素早く動く筋肉から衰えていきます。
そのため、足が突っかかりやすくなり、すぐに足を出して踏ん張れなくなるため、転倒しやすくなります。
では、どういった運動をしたらいいのか?
「歩く」「転倒予防」におススメの動画が
↓↓コチラです。
※この動画は静岡市の依頼で体操の内容を考案し出演した時の動画です。
これを毎日やってみてください。
少しずつですが歩くのが良くなってくると思います。
【痛み】
3つ目は痛みによって活動量が低下し、筋力が低下するものです。
痛みの原因はヘルニアや関節痛など多々ありますが、一説には痛みの85%はトリガーポイントという、筋肉が局所的に硬くなって引き起こされる痛みによるものと言われています。
筋力が弱くなると動きに偏りが出てワンパターンの動き方になります。
そうすると繰り返し同じ筋肉の一部に負担かかる様になります。
負担のかかる筋肉は徐々に硬くなり痛みが出てきます。
痛みが出てくると、さらに動き方に偏りが出て、痛みは継続・増強してきます。
そして、ますます動けなくなってきます。
まさに悪循環ですね。
この様に痛みが出たら、まずは硬くなった筋肉をほぐし痛みを改善し、筋力をつけて
動きに偏りが出ない様に、痛みの再発を予防していかなくてはいけません。
また、この様に痛みが出た状態では
筋肉が硬くなっている場所と
硬くなっていない場所の差があるためストレッチでの改善は難しくなります。
そのため、硬くなっている場所にピンポイントで柔らかくするため施術などをしていかなくてはいけません。
ここまで読んでいただき
どうでしょうか?
少しまとめます。
【栄養】一日に必要な量のタンパク質を摂る
【運動】紹介した動画の運動をする
【痛み】痛みが出たら、早いうちに施術を受け、早いうちに痛みを改善する
この3つの条件を整えていくだけでも
「高齢によるもの」が原因となる、介護状態の予防になる。
と思うと
「予防できそう」と思いませんか?
今回はここまでにしたいと思います。
次回は
「寝たきりになった原因」についての統計を用いて、
また、認知症の予防についても
ご紹介させていただきます。